遠く麗しく立つ
ただのみきや
はだけたカーテンと窓硝子の向こう
隣家の庭木の枝先が刺さった風の震えの向こう
霞んでいる白い家の目印のような煙突の向こう
冬の樹々が黒々と海へ続く 黙々と――
その向こう
薄く濃く重なり合う雲と穿たれた威圧的青さの
なだらかな流転――均衡への衝動に歪む
こともなく さやかに弧を描いて
産声は聞かれず
老いも零落もない
誰もその身に触れることを許さない
七色の女神 現れて消え
《遠く麗しく立つ:2016年11月30日》
自由詩
遠く麗しく立つ
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ただのみきや
2016-11-30 18:31:43
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