プレグナンツ
イシダユーリ



からだと
服が
千切れて
いて
眼球が
なんとか
必要な
部分を
探ろうとしている
超音波
それは
死を
みる
最先端の技術だ
コンビニエンスストア

エロ本から
目をそらしていると
窓から
 目を
 一度も
 開いたことがなかった
 恐れているんだろう
 この
 濁った
 白い
 瞼を

分厚い
ホラー漫画が
うつりこんでいる

どこまでの
千切れなら
痛みを
覚えているのか
誰かが
千切れた記憶が
街にある
けれど
誰かは
千切れずに
ただ年をとる
ふともも
おっぱい
すがりつかれる
からだの
ぶぶんを
もちながら

蹴られる
のなら
人間でないものに
蹴られたい

痛みを
想像している
助けてほしい

いつ言うことに
なるのかを
いつも
下水道に捨てられた
大根や
キャベツに
聞かれている
ねえ
ゆーりちゃんは
いつ
助けてって
泣き叫ぶ
ところに
いくの

その
濁音

助けてほしい
と言う前に
お前を殺したい
どこまでが
痛みを感じる
千切れなのか
いつの間にか
もう
ただ
砂と
混じって
眼球は
白く
覆われている
楽しかった
気持ち悪がられる
のは
楽しかった
やっと
気持ちの悪いものに
なって
ずるずると
からだとして
集まっている
助けて
ほしい
と言う 前に
お前を
殺したい

集まっている

公園が
影になって
お腹が
叩かれる






自由詩 プレグナンツ Copyright イシダユーリ 2016-11-29 16:48:03
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