冬に溶けた紙飛行機
葉月 祐
初冬の空に向かい
紙飛行機を飛ばした
天を目指し
太陽に届きそうな
まさにその瞬間のこと
紙の機体は宙に溶けて消えた
直後 空気はぴりぴりと
痛い程に張り詰めはじめて
白よりも白い雪を
大地へと導いた
紙飛行機は帰らない
上着や髪に
冬の匂いを上書きし
街に雪を呼んだ後
そのままどこかへと行ってしまった
いびつな紙飛行機を折った
わたしの両手には
僅かな温もりだけが残されて
白い機体が導いた
白より明るい冬のかけらが
深々と シンシンと
自由詩
冬に溶けた紙飛行機
Copyright
葉月 祐
2016-11-27 23:06:05
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