冬の街
ヒヤシンス


 季節という音楽を君が奏でるのを聴いた。
 透明な旋律は白銀の街には鮮烈だ。
 音楽は創造され、どよめきの中の瞳を凝視する。
 真昼の動揺を隠せない人々はそのまま夜になだれ込む。

 夜の帳が降りる頃の静寂は異常だった。
 誰一人目を合わせようとしない街角で、
 誰一人心を通い合わせない街角で、
 群青色の世界を照らす街灯が寂しく脈打っている。

 最終列車は行ってしまった。
 日常は行ってしまった。
 週末の心の交差点だけが赤色の点滅を繰り返している。

 君は見事に冬を奏でた。
 誰かの吸いさしの煙草が雪の上で燻っている。
 求めることのない僕の瞳が涙で滲んだ。
 


自由詩 冬の街 Copyright ヒヤシンス 2016-11-27 01:23:01
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