マリンスノーの少女
小林螢太

 
十代前半の頃だったと思う
一遍の詩を読んだ
それは月刊の学生専門雑誌に投稿された入選作品だった
それまで、詩など教科書でしか読んだことはなかったのだけれども
題名に惹かれたのか
それとも投稿者が女子だったからなのか
多感な時期の男子だった私は、
同年代の女子の書いた詩にセクシュアルな気持ちも伴って読んだと思う

その詩は恋愛もののようなポエムではなく、
現代詩風の本格的なものだった
題名も文章もほとんど忘れてしまったが、
詩をこんな風に書けるのかと感銘を受けた記憶だけが残っている
唯一、覚えていることは、文章の中に
「深海のマリンスノー」
という言葉があったことぐらいである
なぜかといえば、当時の私はマリンスノーという言葉を知らなかったからだ
だから、辞典で調べた
写真も見て、改めて感動した覚えがある
そして、そのことにより今でもその言葉だけを覚えている

それから、影響を受けた私は何篇かの詩を書いた
だが、その子の詩のようには、とても書けなかった
そして、書かなくなった

今私は、また詩を書いている、歳を重ねてから
思えば、私の詩の原点は、その子の詩だったように感じる
当の本人は、そんなことは何も知らないだろう
また、そのことを伝える術もない

彼女は今も、
詩を書いているのだろうか
 
 
 
 
 
 

 マリンスノー(英: Marine snow)は、肉眼で観察可能な海中懸濁物の
 ことである。
 海中の様子を撮影した映像、写真等で雪のように見える白い粒子が
 マリンスノーである。
 マリンスノーは海中を沈んでいき、やがて海底に降り注ぎ堆積する。
 地上に降る雪とは異なり、マリンスノーは様々な形、大きさをしたものが
 同時に存在する。
 球状、彗星状、糸状、平板状など様々な形をしたものがあって、
 大きいものは10cmを超すものもある。
 これらのマリンスノーは世界中の海洋で見ることができる。
                               
                ウィキペディア、フリー百科事典より
 
 
 
 

 
 
 


自由詩 マリンスノーの少女 Copyright 小林螢太 2016-11-26 19:35:38
notebook Home