待ちぼうけの煮物たち
竜野欠伸

明日の朝餉で
煮物たちは
ついに食べられるつもりです
かぼちゃの君は
セミロング気味に散髪され
さらりと初冬の乾いた風になびかせ
そっと魔法の馬車馬が走り出す
だいこんの僕は
降りしきる初雪がとても名残惜しく
三島由紀夫が記した金閣寺が
燃える小説のなかで
ふと炎の本質を想い出す

勿論のこと煮物は
煮物の素材だけで成り立たない
お互いの運命と宿命の辻褄を合わせる
かぼちゃの君とだいこんの僕は
近所の八百屋で支払う銭の計算をする
日溜まりにある遠い朝を
迎える鍋のなかで
小さな炎の加減をする
熱い風呂で煮えながら
ゆったりして
ほっと吐息を
かけられながら
みりんと醤油と酒とで暖かい

仮分数のように
大きな頭で
かぼちゃの君は
買物で予算を考えていた
真分数のように
太い足で
だいこんの僕は
食材の調達を急いでいた

いつの間にか
随分と浅くもない器に居座りながら
すでに翼のない
鳥肉とともに
僕たちは
まるでTVに映る
新米芸人たちのように
待ちぼうけしていた



@参照@
仮分数 
http://www.weblio.jp/content/%E4%BB%AE%E5%88%86%E6%95%B0 
真分数 
http://www.weblio.jp/content/%E7%9C%9F%E5%88%86%E6%95%B0


自由詩 待ちぼうけの煮物たち Copyright 竜野欠伸 2016-11-26 00:10:59
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
彼女に捧げる愛と感謝の詩集