東京
もっぷ

 * * *

雪は白いから尊いのよ
透明だったら見えないでしょう
ほかの色だったら世俗を纏うでしょう

 * * *

一つの部屋では未明を迎え
東京の骨が窓辺でうたう
(白い白い骨がうたう)
ケセラセラ、
(春の種を撒きながら)
冬を堪えて
スミレを待ちなさい
きっと桜花も待ちなさい
目覚めると冬だった

 * * *

雪を待つ私の
胸元にはロケット
合金が一瞬で物語る
季節の走馬灯のように
大好きな白いアネモネが
十月に殉じたことを
解放されたね
そっとささやいて悼む
風のなかあんなにも自在だった花を想い
やはり白だ、そう思う

 * * *

午後には亜麻と針と糸
真っ白い翼をいつかのために
(あしたのために)
東京の青空にどうかなと見たてながら

 * * *

わかってほしいの
白いからかなうのよ
透明だったら見えないでしょう
ほかの色だったら世俗を纏うでしょう
だから

 * * *

東京のビルの一つの部屋にある孤独に届く憧憬がある

赦してくれるのは誰、お返事ください
と思ったけれど待ちません自分で決めますから
「初雪屋」で売ってくれたのは一枚の切符だった
さよならを云うひとも意味もないから易く////



自由詩 東京 Copyright もっぷ 2016-11-25 04:54:37
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