宇宙物質エネルギー
もり
宇宙と名の付く授業は
この毎日に風穴を開けてくれる気がしたから
最後列で トランプする彼らの惑星から飛び出して
非常口にいちばん遠い席についたのに
先生、はじめから
私たち眼中にないような
声
先生、ここは地球です
「大人になるということは、
つまらない話を
聞くということですよ」
ああ、
種子島宇宙センターの
ロケットが飛んだ
白い煙を噴き出して
煙幕がひろがって
そのあと
何が残ったと思います?
私の
私のとっくに
脱ぎ捨てたはずの
制服が
アイロンの匂いと
隠しきれない嘘と
まだ残るあどけなさ
先生、ここは地球です
父は胃にブラックホールを
母は真夏にも
ビニールハウスで蒸れています
お金の話はしたくないけれど
私にだって 考えていることはあるのです
ええ、今どきの大学生ですけれど
抒情詩でも 散文詩でも
自由詩でも なく
私 まきび詩を 撒き散らして
飛ぶ
リンゴが樹から落ちる ように
おちる
そして
すべてを逆再生する
先生、
私のつまらない詩、
受け取れますか