宇宙物質エネルギー
もり



宇宙と名の付く授業は

この毎日に風穴を開けてくれる気がしたから

最後列で トランプする彼らの惑星から飛び出して

非常口にいちばん遠い席についたのに

先生、はじめから

私たち眼中にないような




先生、ここは地球です


「大人になるということは、
つまらない話を
聞くということですよ」

ああ、

種子島宇宙センターの

ロケットが飛んだ

白い煙を噴き出して

煙幕がひろがって

そのあと

何が残ったと思います?

私の

私のとっくに

脱ぎ捨てたはずの

制服が

アイロンの匂いと

隠しきれない嘘と

まだ残るあどけなさ


先生、ここは地球です


父は胃にブラックホールを

母は真夏にも

ビニールハウスで蒸れています

お金の話はしたくないけれど

私にだって 考えていることはあるのです

ええ、今どきの大学生ですけれど


抒情詩でも 散文詩でも

自由詩でも なく

私 まきび詩を 撒き散らして

飛ぶ

リンゴが樹から落ちる ように

おちる

そして

すべてを逆再生する


先生、

私のつまらない詩、

受け取れますか



自由詩 宇宙物質エネルギー Copyright もり 2016-11-22 23:43:44
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