秒針のない時間
そらの珊瑚

赤いチュチュをはいた
白い花たちが
寄り添って踊る

小さなバレリーナ

踊ることは
生きていることだと
無邪気に笑う

顔を寄せたわたしの目の前で
おさなごのやわらかな手に触れて
夏毛の残骸を付けさせたままの犬の鼻先で
或いは
郵便配達夫が去ったあとで発つ
瞳には映らない風の中で

冬が来れば
人知れず舞台を降りる仕組み

この束の間は永遠に似ている
永遠が束の間に似ているように

残酷な朝は
いずれ訪れる
それでも
チェリーセージは
朝陽を受け止めて
秒針のない時間を
ふるる、ふるると
優しく踊る


自由詩 秒針のない時間 Copyright そらの珊瑚 2016-11-21 07:53:16
notebook Home 戻る