秒針のない時間
そらの珊瑚
赤いチュチュをはいた
白い花たちが
寄り添って踊る
小さなバレリーナ
踊ることは
生きていることだと
無邪気に笑う
顔を寄せたわたしの目の前で
おさなごのやわらかな手に触れて
夏毛の残骸を付けさせたままの犬の鼻先で
或いは
郵便配達夫が去ったあとで発つ
瞳には映らない風の中で
冬が来れば
人知れず舞台を降りる仕組み
この束の間は永遠に似ている
永遠が束の間に似ているように
残酷な朝は
いずれ訪れる
それでも
チェリーセージは
朝陽を受け止めて
秒針のない時間を
ふるる、ふるると
優しく踊る