漂うもの
ヒヤシンス
漂いの中に浮かぶ船はとても空虚だ。
空虚は僕の心を浸潤する。
広がり、閉じる。
この情緒こそ難破船にはふさわしい。
水面に移る悲しみを鳥たちが啄む。
僕は自分が何か勘違いをしているかように思い込む。
予言の糸がピンと張りつめて、
まるで自分の寿命を計っているようだ。
空を切る風が僕の頬をも切りつける。
流れる鮮血を掌いっぱいに受け取って、
自分の体内に戻すように啜ってみた。
一つの悲しみを癒すために更なる悲しみを捏造する。
空虚に見えるそんな行為が新たな癒しとなる。
今度こそは大空を漂う雲になりたい。