Claire de Lune
小林螢太
鏡のような湖のうえ
ふりそそぐ、ひかり
わたしの、いのちが拡散し
みなもを撫でていく
ここにいれば、
あたたかな霧のようなつきの
ひかりを浴びて
おだやかなしんとう圧が
からだを満たしていく
何度となくかんしょくを確かめて
ときをおき、かくどをかえて
そのきおくとかんかくを
再生し、そして
あっけなく消した
からだを覆う幾層かのまくが
ゆっくりと、このみずのなかで
溶かされていく
うすいオブラートのような
その、何枚かが剝ぎ取られる
なにもかも溢れすぎて
衝動があつく、つづく
いつか、ふかい呼吸のひつような身体が
静謐な夜の外気に、浮かびあがる
あるはずのない、あおの花園で
ゆめを、見続けるように
わたしは、再びそこで
ねむるだろう