チャルメラ
もっぷ
チャルメラが聴こえたので
最後の千円札を掴んで飛び出した
台の上にロー引きの小袋がたくさん並んでいる
一つ、と云うと
千円。
と小母さんは応じる
く、っと差し出したら
三つくれた
泣きながら帰って
袋のなかの金平糖をそっと覗いて
いつもの羊でなく
小袋を三つとも抱えて眠った
起きたら 羊の目は真っ赤
袋はどこにもなかった
その三日後のことだけど
内緒なんだけど
小母さんから葉書が届いた
櫂が買えました、ありがとう。
夜を待って飛び出してみあげると
一筋のまばゆい軌跡があった
わたしは手を振った
わかっていたけど それでも
いつまでも手を振り続けた