drizzLe
opus

白い肌
青い血管
金色の髪
赤い唇
茶色い瞳
高い鼻

森の中で
君はコッチを向いて
僕を睨む
その視線だけが
僕の誉れ

鳥が飛ぶ
樹々がさざめく
モンシロ蝶が飛ぶ
遠くの方で
川のせせらぎが聞こえる

僕はシャッターをきる
君は黒いワンピースに
赤いハイヒール
白い息を吐く
僕はシャッターをきる

だんだんと靄がたちこめる
徐々に濃くなり
だんだんと見えなくなる
君が見えなくなる

もう目の前は何も見えない
あるのはカメラだけ
僕はシャッターをきる

靄がはれると君はいない
君のいる場所に
鹿が一匹
振り返って立ち去る

気がつくと
僕の手は真っ赤に腫れていて
耳からは血がだらだらと流れる
歯がボロボロと抜け
皮膚が溶ける
爪が剥がれ
眼球が落ちる

あとにはカメラが残る
カメラにモンシロ蝶がとまる
羽をハタハタと
広げたり閉じたり
樹々がさざめいて
鳥が飛ぶ
遠くの方で
川のせせらぎが聞こえる


自由詩 drizzLe Copyright opus 2016-11-14 22:09:27
notebook Home