寒い中で
坂本瞳子

小雨が止めどなく降りしきる
一一月はかなり寒くて
凍えそうになるけれど
本格的な冬がくれば
もっと寒くなるのだと
覚悟をしなければならない

吐く息の白さに
驚いてなどいられない
震える手で抑えるように
傘を持つ
目眩を堪えるように
もう一歩進む
気を失わないように
あなたの名前を呼んで見る

返事はないけれど
心が満たされる

だからもう少し
こうしている
足の先が悴んで来たけれど


自由詩 寒い中で Copyright 坂本瞳子 2016-11-14 20:48:20
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