よにふる、雪。
青木怜二

骨のはら、平らかにひろがってゆく
りと、たってしまう。そよぐ音が、声が
あることの根をふるわせよ、ふるえ、よ、と
しきいにふれるか否かの下方でなる

よよ繰りかえす「ことのね」のれつ
おん、(恩、(怨、うずめられ、あらためられ
その表においても繰り、孵されるのだ。「あたためますか?」

狂れる琴の音(あれは何時かにも聴いた……。
ひびきのうしろにも降れる、血、涙、精液
雪はいつでもかなしみのあとに優しい、)つみ、)つまれ、)
触れる、おもてはいつも見えない鬼の顔をしている
よ(夜、(世、

かわいてる。ねが、かわいてる
いん、を踏むたびなるのは
きっと、骨のはら(原、(腹、(胎、
しめやかになれ。しみ、とけてゆけ。
踏むことはやがて踏まれてゆく
ことになる、から。
。わたしの、頭のうえにも。
雪が降る。
ふる。


(平らかに、ならされてゆく)


自由詩 よにふる、雪。 Copyright 青木怜二 2016-11-13 09:21:07
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