あたしの唄
もっぷ
弥生生まれの小鳥の日日は
父母恋しい空でした
弥生生まれの菫の日日は
暴雨を忍ぶ詩でした
弥生生まれのヒトの子の日日は
シチューが好きな私でした
弥生生まれの風である日は
旅のおわりを願っていました
再びあおい菫の日には
お屋敷の庭に咲きまして
奥さまにご挨拶します
、目を逸らされてそれっきり
わたしはそれではさびしいと
かなしく思ってうなだれるのです
ふいに空から懐かしい羽音
みあげてみればかつての小鳥
わたしは言葉を使い尽くして
聴こえるように嘆いてみました
〝あたしの唄〟が舞い降りて来て
(そのとき季節外れの雪が)
「翼に抱かれてあたたかい」
「守れるものがわたしにも」
、さて 弥生生まれが帰る日です
あたしは笑顔で手を振りました