あたしの唄
もっぷ

弥生生まれの小鳥の日日は
父母ちちはは恋しい空でした

弥生生まれの菫の日日は
暴雨を忍ぶうたでした

弥生生まれのヒトの子の日日は
シチューが好きなわたくしでした

弥生生まれの風である日は
旅のおわりを願っていました

再びあおい菫の日には
お屋敷の庭に咲きまして

奥さまにご挨拶します
、目を逸らされてそれっきり

わたしはそれではさびしいと
かなしく思ってうなだれるのです

ふいに空から懐かしい羽音はおと
みあげてみればかつての小鳥

わたしは言葉を使い尽くして
聴こえるように嘆いてみました

〝あたしの唄〟が舞い降りて来て
(そのとき季節外れの雪が)

「翼に抱かれてあたたかい」
「守れるものがわたしにも」

、さて 弥生生まれが帰る日です
あたしは笑顔で手を振りました



自由詩 あたしの唄 Copyright もっぷ 2016-11-12 17:26:06
notebook Home