湯治
ガト

むかし
凍えて死にかけた野良猫を
お風呂で温めて助けた

その猫はそれから
私がお風呂に入ると
いつもお風呂場にやってきた

洗面器にお湯を入れてやると
自分からお湯に浸かり
静かに箱座りした

目を細めて
幸せそうな顔して

その猫が死んで数十年経つけど
私は寒い夜にお風呂に浸かると
いつもその猫のことを思い出す

時々洗面器が
小さな
浴槽に見える


自由詩 湯治 Copyright ガト 2016-11-11 01:21:11
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