ピストン
あおい満月
追われる、追われる、追われる、
ピストンのなかの液体のなかの私が、
押される、押される、押される、
外へと弾き出される。
なにも持たないはずなのに、
何かがいつもゆれている。
私には見えない何かを、
もぎとろうと無数の手が伸びる。
追われる、追われる、追われる、
裸のままでいくら走っても、
押される、押される、押される、
頭を押さえつけられて前が見えない。
追い込まれた果ての先には、
細い糸しか見えなくて、
私はその上で風に吹かれながら、
綱渡りのように手に翼をつくりながら。
追われる、追われる、追われる、
白から黒に変わっていくオセロ、
押される、押される、押される、
あと一歩で線路へと。
追われた居場所、
押されたこの身体、
明日はどこにいるのだろうか、
空に向かい呼んでみても、
誰もいない。