ピストン
あおい満月

追われる、追われる、追われる、
ピストンのなかの液体のなかの私が、
押される、押される、押される、
外へと弾き出される。

なにも持たないはずなのに、
何かがいつもゆれている。
私には見えない何かを、
もぎとろうと無数の手が伸びる。

追われる、追われる、追われる、
裸のままでいくら走っても、
押される、押される、押される、
頭を押さえつけられて前が見えない。

追い込まれた果ての先には、
細い糸しか見えなくて、
私はその上で風に吹かれながら、
綱渡りのように手に翼をつくりながら。

追われる、追われる、追われる、
白から黒に変わっていくオセロ、
押される、押される、押される、
あと一歩で線路へと。

追われた居場所、
押されたこの身体、
明日はどこにいるのだろうか、
空に向かい呼んでみても、

誰もいない。



自由詩 ピストン Copyright あおい満月 2016-11-10 20:57:47
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