空は二十キロの渋滞
日々野いずる

物憂げな予感に満ちて
黄昏時に立ち止まってじっと
夕日を見ている人がいた
空が暗色に沈んでいく
目に丸い陽の跡が残って
月の横に暗色の太陽が浮かんだ

空に色を付けるのなら
赤しかないという
進退をどこにもやらずに
ここに立ち止まらせる色

夕暮れ時は目を光らせる
じいと立ち竦んで 飛び退くべきか見ていた猫
車のヘッドライトに照らされていた
影が目に残り
空に猫型の月を浮かばせた

本物の星月が窮屈そうに
小さくなっている夜を過ぎこし
発泡酒を片手に日々を反芻して

目に残る影が 宙で大渋滞を起こしている



自由詩 空は二十キロの渋滞 Copyright 日々野いずる 2016-11-08 14:13:33
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