ほどいてしまおう
葉月 祐
まとまらない
まとめたくない
心 自由に泳がせて
瞼の裏の水辺に浮かぶ
貝殻は過去のぬけがら
まとめる気がない
今日という一日を
どんな糸もすり抜けていく
わたしを自由に泳がせて
飾らないまま 生きたい
不釣り合いなまばゆさを放つ
首周りの豪華な飾りも
すべてちぎって海へ届けよう
ほどけきった輝きのあつまり
キラキラしていた
単体でも 堂々と美しい
海の碧さには
きっと敵わないけれど
よく似合うよ
ばらばらに散った宝石のひかり
この心もまた
一度ほどかれてしまえば
ほらね きらめいた
貝殻は新しい記憶を求めて
扉をあけたまま
砂浜へと たどり着く
まとめない まとめたくない
今は この海を泳いで わたし ほどけていく