物々交換の亡者
吉岡ペペロ
物々交換していた頃ひとは相手がなにを望んでいるかを考え、自らが欲しているものを手にいれていた
相手が望むもの、自らが望むもの
それをジョイントさせていた
貨幣が発明されるとそれは分断された
相手が金を払えば、もう自分には関係がない
あとは相手が勝手に望みを叶えるだろう、そんな感じになったのだ
貨幣が発明される前の時代感覚は、労働やマーケティングに残った
組織が望むことを感じとれる労働者は、組織に好まれ受け入れられた
市場が望むことを感じとれる企業は、つまりマーケティングを行う企業は、市場に受け入れられた
しかしそんな労働者や企業は多くはなかった
毎日出社さえしていれば、あとは組織が勝手になにかとやってくれるのが当たり前
昔から売れているものがあれば、あとは市場が勝手になんなりと使ってくれるのが当たり前
賢い企業はマーケティングにちからを注力し始めたが、労働者はまだまだ組織がなにを望んでいるかに鈍感だ
貨幣は物々交換の進化系ではない
貨幣は物々交換の、スピード化というオプションであり、地理的拡大化というオプションであり、貨幣のもつ寿命という限定付きの永遠化というオプションにすぎない
相手が望むもの、自らが望むもの
それをジョイントさせていくことを忘れているようでは、スピード化、地理的拡大化、永遠化といった物々交換のオプションの亡者があふれるばかりだ