水底の歌
レタス
彼は冷たい水底に眠り
ときおり緩やかに踊り出す
口惜しさや無念を忘れ
与えられた使命を果たすように踊りはじめる
水底の琥珀の液体は酸化し
とても飲める代物ではないはずなのに
彼は薄く頬笑みを浮かべ
グラスを傾ける
奪われた未來をあざ笑うように
皮肉をたたえ
暗い水底でグラスを傾け
琥珀を漂い
奪われた明日を夢見る
彼の骨は誰よりも美しく白い
青白い蛾が目の前を通り過ぎ
羽化が始まり
乾杯を捧げては
少しだけ頬笑み
水底をゆらゆらと漂いながら
忘れた歌を思い出す
自由詩
水底の歌
Copyright
レタス
2016-10-30 20:56:15
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