再発
オイタル

僕は立とうとする
三十年前の川べりに
もう一度 何者かに
出会うために

何者かになろうとする
男とか 女に
正義とか 悲劇に
ということに

中年とか 公務員とか
右寄りの左翼とか 節操のない右翼とか
とにかく 僕が何者か
ということに

そこの黒い川べりで
くつろぐ家族たちのシルエットと
まだ見えない雷鳴の気配と
くっきりと輪郭を 現している
ゆえに


自由詩 再発 Copyright オイタル 2016-10-30 10:11:54
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