斜視のくだる翡翠
白島真

 
浮いている
しかかる重力
月は平衡する
走る遠景を
雨の滴で回避して


狂っている
歩行する緑の
あらがう能役者が噂する
平成の螺子ネジ
とまらない


化粧するのは
天気予報に虹鱒の老い
すさび
五日後の直滑降で
ふるえる予知夢


揺れている
生まれてこのかた
鸚鵡鳥のように
斜視のくだる翡翠かわせみ
色のない万華鏡を片手で回すな



自由詩 斜視のくだる翡翠 Copyright 白島真 2016-10-30 07:19:25
notebook Home