夜の声
葉月 祐





夜が悲鳴を上げた

 


それは耳鳴りと重なり

外にも部屋にも

からだの中にも

響き渡る事をけしてやめなかった


あなたは何を叫んでいたのだろうか


私よりも

重く受けとめがたい出来事を

抱えてしまったのだろうか

もしも互いにそれを分け合えたなら

その荷物は減らす事が出来たけれど

この両手には

一部の飽和しきった感情が

どうしようもない程に溢れていて


あなたのその悲しみまでは

どうしても受けとめきれそうにないのだ







その悲鳴は遠くまでこだました

誰かにも 聞こえてしまったのかも しれない

どうか拾い上げないでいてほしい



あなた達には

穏やかな夜の海に浮かんでいてほしい







自由詩 夜の声 Copyright 葉月 祐 2016-10-29 21:25:25
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