夜の声
葉月 祐
夜が悲鳴を上げた
それは耳鳴りと重なり
外にも部屋にも
からだの中にも
響き渡る事をけしてやめなかった
あなたは何を叫んでいたのだろうか
私よりも
重く受けとめがたい出来事を
抱えてしまったのだろうか
もしも互いにそれを分け合えたなら
その荷物は減らす事が出来たけれど
この両手には
一部の飽和しきった感情が
どうしようもない程に溢れていて
あなたのその悲しみまでは
どうしても受けとめきれそうにないのだ
その悲鳴は遠くまでこだました
誰かにも 聞こえてしまったのかも しれない
どうか拾い上げないでいてほしい
あなた達には
穏やかな夜の海に浮かんでいてほしい