咲き誇れ
葉月 祐


魅力的で可憐な花にはなれない

この身に光や雨粒をのせて輝き

風に美しく靡く事も

地を這うように咲くわたしには難しい

けれども どうか

わたしがここにいるという事

ただそれだけで良いから

忘れないでいて欲しいのです

どうか どうか

忘れずにいて欲しいのです

ここにひとり咲いている

わたしという一輪の存在を

あなたに覚えていて欲しいのです

たとえ何度踏まれようとも

どれだけ潰されようとも

冷たい季節にさらされても

この大地に確かに根を張り巡らせ

誰よりも長い時間

遥か遠くにある広い空を見つめながら

ここに力強く咲き

どうしようもなく必死に生きている

わたしという一輪の存在を





自由詩 咲き誇れ Copyright 葉月 祐 2016-10-28 11:51:51
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