はなことば一
田中修子
大学のかえり下り坂
黄色いばらの花びらの
ふるふる落ちる
わたしの恋人が
わたしの親友を
好きになってしまい
それはわたしの愛が足らぬから
夕暮れのななめのひかりは金と黄色と橙で
黄色いばらの花びらを
よりいっそうあかるく染め上げる
あんまりにも美しすぎて
わたしの魂が風景に空に
すうっと吸い込まれてくころにさしかかり
すねるふたりへのおわびのきもち
黄色いばらの花びらを
ふたりのこれからのかんむりに
これがわたしのくちづけ
心底の愛
ふたり、しあわせそうにほおえんでるのを
わたし、うっとりながめてる