筆絶した空
あおい満月
筆絶した空に浮かぶ星は、
迷路をつくるかのように、
地に落ちていった。
私はその落ちた星たちを、
拾い集めてことばをつくった。
死にながら生きていたことばたちは、
息をしながら低く輝いていた。
筆絶したパズルの上に、
赤い花びらを散らした。
急に血を流したくなって、
カッターで指を切った。
血はパズルの上に滴って、
声になって空間に浮かんだ。
浮かんだ声を唄にして、
詩をつくった。
詩は目を閉じたさかなになって、
深い声でないていた。
筆絶したカンバスの上に、
赤い林檎を置いた。
林檎は白い壁に食べられて、
壁を赤くした。
赤い壁に爪でことばを刻んだ。
ことばは音を孕んで、
唄になって詩を産んだ。
詩は血を引きずりながら、
黒い字になって赤い壁を駈け降りる。
筆絶した私の上に、
降る雨は赤い。