自暴自棄の一歩手前で
葉月 祐



時々苛立ちが頂点を極めると
そこらへんのタクシーをとめて
『この世の果てまで頼むよ』
なんて 言ってみたくなるんだ

もちろんやらない


訳もなく感情がたかぶれば
もみじが萎れて足元に降るだけで
『あんたもひとりなのか』
とか 泣きそうになって

めんどくさいんだよな


季節が巡り秋になる度
寂しさを愛しさと履き違える事
『おまえしか見えないんだ…』
あはは、
むしろ何も見えてないだろう

それらはベツモノです


夕暮れ時を歩いていたら
感傷的になって当たり前だ
『自分はなんて孤独なんだろう!』
そんな寝言は、

夕陽を見ながら言うもんじゃない
鏡を見ながら嘆きなさい


難しい事なんて
何も無い
素直になれば
良いだけさ

好きなものは好きで良いし
嫌いなら嫌いで構わない
嬉しい時は喜ばないと
悲しみや怒りすら風化してしまう


そういえば
今夜は晴れるんだってな
星空でも見ながら
流れ星でも見て
泣いてみれば良いんじゃないか

誰もが願う事に必死で
涙一筋くらいは
流したって笑いやしないんだ
気づきやしないから






自由詩 自暴自棄の一歩手前で Copyright 葉月 祐 2016-10-26 17:49:13
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