導きの雨音
葉月 祐

疲れだけが
この体に降り積もった
誰の言葉も
静寂に消えてゆく 

街灯が
一輪の花の様に見えた
液晶の光が
私の姿をあらわにしていく


隠れられない
隠せない
画面の明かりを
消そうとも


どこからともなく
やってくる
夜の色をした
微かで確かな明かりが
どこまでも
私を捜しにやってくるのだ


誰の言葉も
夜の向こうへと
連れていかれる

そうして
現実的な疲れだけが
夜の真ん中に残されている


どこからか
鼓膜を濡らす様な
雨音が聞こえてくる

それが私を
確かな眠りの国まで
導いてくれると
良いのだけれども


雨音と 静寂に
隠しようも無い
疲れが混じり
室内に混在している









自由詩 導きの雨音 Copyright 葉月 祐 2016-10-26 00:06:41
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