秋の蛇口
白島真

秋の蛇口をひねると
空虚がぽとりと落ちてくる
管は水平に都市の闇を這い
水源地は紅葉こうようで充たされている


空虚で顔を洗うと
頬がすこし紅くなる
正直な肉の反応に
つい うがいをして
自分を吐き出したくなる


秋の空虚をボトルに詰めて
あすは水源地に行ってみよう
こころを垂直にさかのぼって
あらかじめ充たされた紅葉の場所へ


自由詩 秋の蛇口 Copyright 白島真 2016-10-25 08:09:04
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