夜と羽
木立 悟





水紋のそのままが伝わり
川底の色に雨が加わる
あやまちの子が
夕暮れに手を振る


曇わたる曇から蒼が降り
唱う譜面の切れ端も降る
幾つかに分けられた家並から
楽隊の出発のにおいがする


時間の残骸が
雨の径をゆく
傘を捨てる影
遠のく光


空は涙に曇り
明滅を追えば戻れない
街をまたぐ街 剥がれ落ちる影
縦のうた 縦のうた 縦のうた


いつ崩れるかわからない
小さな捧げものたちが
暗い線を縫うように
またたきながら遠去かる


野にも街にも居られない子が
羽の背に夜を浴びている
目を拳でふさいだまま
灯りの水を踏みしめる


























自由詩 夜と羽 Copyright 木立 悟 2016-10-23 23:41:29
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