夜と羽
木立 悟
水紋のそのままが伝わり
川底の色に雨が加わる
あやまちの子が
夕暮れに手を振る
曇わたる曇から蒼が降り
唱う譜面の切れ端も降る
幾つかに分けられた家並から
楽隊の出発のにおいがする
時間の残骸が
雨の径をゆく
傘を捨てる影
遠のく光
空は涙に曇り
明滅を追えば戻れない
街をまたぐ街 剥がれ落ちる影
縦のうた 縦のうた 縦のうた
いつ崩れるかわからない
小さな捧げものたちが
暗い線を縫うように
またたきながら遠去かる
野にも街にも居られない子が
羽の背に夜を浴びている
目を拳でふさいだまま
灯りの水を踏みしめる