夜
葉月 祐
君は黒く煌めくシーツを
その身に纏って
こちらを見ている
そうだね 寒いからね
僕は月のスイッチを消して
君と共に
夜の深くまで潜り込んだ
重ねる
委ねる
二人のすべてを
ひとつずつ
室内に漂う十月の冷気は
徐々に冷たさを失いはじめ
きつめに繋いだ手を
どちらからも
解く事も無いまま
狭い夜の中で
互いの体温をうつしあう
果てない深夜に
幸せの瞬間ばかりが
幾重にも 重なり続けた
時計の文字も夜にのまれて
今が何時なのかすら
僕ら 分からないでいる
真っ暗な部屋に
君が纏っていたシーツの煌めきだけが
僅かな光を放っていた