いつもの挨拶
白島真

そろそろ すとーぶだしてよ ともいわない
きみは けなげだね
ねどこでほんをよみだすと
かならずわけありがおでじゃまをする
うるさいけど にくめない
たまに てつがくしゃのように
あおのさかなをめいそうしている
ざつねんだらけのぼくは はずかしくなってしまう


何も所有しない ただひとり

母の忘れ形見

その瞳はうつくしい 母を見たから

れいぞうこのつめたいかんづめはきらい
とっととにげていく なまいきだね
くっちゃね くっちゃねだけなのに
あいされる
じょうぜつなぼくよりも
あいされる
いたみをかかえると
ひとりしずかに たえている
けっしてあまえてこない

きみの和毛にふわふわして
所有をすてて近づきたい 見習いたい
もうぼくより年上かな
先のことは考えたくない
でもぼくはきみを看取れる
きみは看取れない 
困ったね


おしりをやさしくひとつかみ
にゃっという いつものあいさつ
いまは それで いい



自由詩 いつもの挨拶 Copyright 白島真 2016-10-14 09:30:51
notebook Home 戻る  過去 未来