目覚める
マチネ

私が生まれて初めて目を開けたのは、雷のひどく鳴り響く日だったらしい。
針で綴じたような細い目が、まるで遠雷の音に驚くようにぱっちりと開いたのだと、母は言った。
私の知らない私の姿を、見て、記憶している人がいる。
お前はあのアニメが好きだった、枝豆が食べられなかった。幼稚園ではみつる君と仲が良かった。私が知りようのない私を母は今でも満足そうに語ります。
私の生まれた日は目を開けた日の数日前、6月に見合わない快晴で、病室も少し暑かったらしい。生まれたときの光を見たことがあるってどこかで聞いた言葉だけど、私も、その時の、6月の厳しい日差しをこの目に焼き付けた気がしてくる。


自由詩 目覚める Copyright マチネ 2016-10-14 08:59:26
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