私を殺しに来てほしい、ただし私よりも強いことを示せ
狩心

各自、別々の意図を持ち
他の者と重なる部分と
重ならない部分がある

その、重ならない部分を
親密な相手には知ってもらいたい

お互いが個でありながら
関係を持とうとする事には
訳がある

世界から切り離され 産み落とされた
そしてまた、世界に 溶け込む過程で
新たな組み合わせを 試作している世界は、

残酷なほどに貪欲に、
我々を細胞としての一部、
下僕として、飼い慣らしている

世界は、意志の無い自然ではなく、
巨大なひとつの生命体である
私は産み落とされる時、それと話をした記憶がある

それはこう話していた
私もお前と同じように、私よりも巨大な生命体の細胞の一部として
訳も分からず、飼い慣らされている

ただ私はそいつの目の届かないところで
そいつとは重ならない、私だけの世界を密かに展開している
だからお前も、私の意志とは関係の無いところで
お前が望む世界を構築すればいい

親密な相手には知ってもらいたい
ぼくときみには、重なる部分と重ならない部分がある、
そしてぼくはきみのその、重ならない部分が尊い
そして僕らは重なるべき部分で重なり、世界の中に消えていく

世界の目の届かない世界を
僕らだけで育み、世界に残さないように消し去る
私の奥の奥、管理されない思い出を
少しずつ溜めていく

その値が、一定数値を超えると、
あなたは病原体として世界から吐き出され、ビッグバンを起こし、
新たな宇宙となる

そして今度はあなたがたくさんの細胞を飼い慣らす、
その細胞たちが病原体としてあなたから一定数吐き出されると、神からあなたに電信が届き、
今日一日の仕事はもう終わりだ、宇宙の外側で羽を伸ばせ
と言う、

あらゆるものに囲まれた部屋という服を脱ぎ捨て、透明な存在になり、天国を飛び歩く、

求めるということはそこにはなく、そこには何も無く、すべてがあった

私はそう記憶している
またあの場所に戻るのはいつになるだろう、

いずれ私は神を殺すだろう、
そして神がしていたことを担い、途方も無く長い、今までのすべての事柄の苦痛を遥かに超えた苦痛、を体験し、
誰かが私を殺しに来ないかと、
途方も無い時間と空間を見つめながら、
途方も無い魂の数を管理しながら、
自分以外の存在を本当に尊く愛し、待ち遠しく待ち遠しく、待ち侘びながら、





自由詩 私を殺しに来てほしい、ただし私よりも強いことを示せ Copyright 狩心 2016-10-08 12:06:55
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