無題
nemaru
部下が社内LANの仕組みを知らず、数台のパソコンのデスクトップに、同じ名前のファイルを作っていた。
こういうときは、元のファイルをサーバーに置いて、デスクトップにショートカットを置いておけば、
どこからでも同じファイルを編集できるよ。
あっ そういうことなんですか
今まで編集しててさ、あれ、このファイル、こないだ更新したはずなのにな〜…とか、思わなかった?
「めっちゃ思ってました」
…おもっとったんかい…
会社の電気をぜんぶ消して、真っ暗なのを確認してから、フロアに鍵をかけ、念のため、ドア窓からのぞく。殺虫灯の光が、リノリウムの細かなたわみを浮き上がらせ、さざ波立った、湖面のようにみえる。リノリウムの湖面の底に、沈んでいるものが あるような、ないような… まぁ ないんだけど。さみしいねぇ
(また明日 このフロアに人が集まって、効率的に働く)
静まり返ったフロアにあるものが、わたしたちにたくさんのものを作らせるし、わたしたちも作ることができる。わたしたちは工場で、わたしたちの労働力を効率よく使い果たせる。パートさんにも効率よく、それでいて楽しく、働いてもらいたいものだな。怪我もなく。
だったら、あの角は、アールとらないとなあ
時給も上げてやりてえ
そうやって、やってるうちに、歳をとるんだねえ(しらんけど)
「めっちゃ思ってました」
めっちゃ思ってたんだ。気づくの遅くてごめんな。
いつもわたわたしてて、訊いてやれなかった でもさ、
名言じゃない?
「めっちゃ思ってました」
まるで デカルトの超訳みたいじゃないか
ひとつ、お土産のように この言葉を好んで、持ち帰った。