サーカス 
白島真

 深刻ではなく 淋しい瞳をもった
 サーカスのピエロ
 ぼく きっと 透きとおった
 この時代の住民にちがいない

 古代マンモスのふかい皺をもった
 象たちが踊り 踊らされる
 過去のひとかけの傷が
 おどろおどろしい悲鳴をあげているようなのだ

 テントの向こう 
 風のなかで
 先祖の顔した手品師が
 ゆっくりブランコを漕いでいる
  
 陽気なぼくらの楽団は 
 時代の階段をさかさまに降りる
 綱渡りをするため
 横長の大空でバランスをとっている
 


自由詩 サーカス  Copyright 白島真 2016-10-05 16:16:37
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