共犯者
Dai


眼を伏せて共犯者の名前を心に浮かべながら
水中にもぐる。
割れてしまった男の肖像画
同じ個所で歩き遅れた娘の写真に
結像さそうと試みるけれど
血液状に固まりを始めた無意味な水の
流れに抵抗され
奇妙な断層に押し返される。

共犯者と共通の領域
地下鉄の水没駅
それらを天幕の中に隠して
再び水中にもぐる。
多角形に変形した記憶の断片と
投身した彼女の記憶が
アンダーラインを引いて
僕の記憶の形成を妨げる。

彼女は
いつから
彼女だったのか
怪しげな時間の弁護人
軽蔑的な微笑みを
投げつけながら
彼女に時間を売りつける。

(流体力学の中に記号が無限に浮いている)

(お母さん一緒に泳ぎましょうか?)

泳げない母、僕は母を殺そうとしているのか?
母の共犯者は父であったのに、
どうして母が早く死ぬの??????


自由詩 共犯者 Copyright Dai 2016-10-04 15:48:56
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