共犯者
Dai
眼を伏せて共犯者の名前を心に浮かべながら
水中にもぐる。
割れてしまった男の肖像画
同じ個所で歩き遅れた娘の写真に
結像さそうと試みるけれど
血液状に固まりを始めた無意味な水の
流れに抵抗され
奇妙な断層に押し返される。
共犯者と共通の領域
地下鉄の水没駅
それらを天幕の中に隠して
再び水中にもぐる。
多角形に変形した記憶の断片と
投身した彼女の記憶が
アンダーラインを引いて
僕の記憶の形成を妨げる。
彼女は
いつから
彼女だったのか
怪しげな時間の弁護人
軽蔑的な微笑みを
投げつけながら
彼女に時間を売りつける。
(流体力学の中に記号が無限に浮いている)
(お母さん一緒に泳ぎましょうか?)
泳げない母、僕は母を殺そうとしているのか?
母の共犯者は父であったのに、
どうして母が早く死ぬの??????