過剰
小川麻由美
彼女は猫の名前を呼ぶ
ジャニス・ジョプリンが
お似合いの魅力的な声
猫には きちんと名前がある
かわいいいね かわいいね
繰り返し聞こえる 彼女の声
ほんわかとした時間に
突如 亀裂が走る
「剥製にしたいな」
愛情の過剰な表れなのか
戸惑う私は冗談だと思う
いや本気かもしれない
猫を剥製にして得られる
彼女は永遠を手にしたいのか
永遠の永遠の愛情
剥製の猫を撫でる
そんな彼女を思い描く
過剰な愛情がそうさせるのか
私は彼女に問うことが
できずにいる
自由詩
過剰
Copyright
小川麻由美
2016-10-04 04:57:54