白のブルース
Lucy
寂しいから寂しくないふりを
しているなんてお見通しなの
寂しくないならどうして
そんな限界集落の無人駅に
会いに来ないかなんて言うのよ
あなたの孤独を映し出す
鏡のように澄んだ湖はもうどこにもない
若い人たちに慕われて
元気をもらっているよって
相変らず毎日忙しくてさ
なんていうなら
私のことなんて
どうして思い出したのですか
あなたが老人になっても
私はちっともがっかりしない
だけど
もう少女ではない私を見て
あなたが落胆するのは許せない
だって知っている
わたしが少女だったから
好きだったんでしょう
あなたがどんなに孤独でも
私 鏡にはもうなれない
自分一人の孤独でたくさん
しろく濁った湖は
誰の寂しさも映し出さない
あなたが思い出す
残酷な恋に死ぬまで踊る
赤い靴を履いた少女は
どこにもいない
存在が皮膚を爛れさせ
世界はアレルギーのように
私を馴染ませなかったから
あなたになりたかっただけ
強くて賢くて寂しい人に
アラスカの荒野で
いきだおれるのが理想だなんて
きざなこと言って
寂しがらせた
今はわかるよ
アラスカになんか行かなくたって
吹雪にまかれ
方向も見失い
たった一人で死を待つあなたに
手を差し伸べる代わりに
私は歌う
あなたのために
あなたの耳には聞こえない
白い白い吹雪の歌を