この一歩は
坂本瞳子
今日の初めの一歩は
泥濘んだ土の上
靴が滑るのを必死に留まった
右足が自分の意志に逆らって
少し前に進む感覚は
ほんの少しでありながら
驚異であると同時に
快感さえも感じられる
左足にも力を入れる
更に少しだけ斜めの方向に
足が開く
泥濘の上の滑走に覚える
心地良さは格別で
繰り返したくなるのを
必死に抑える
今日はまだ始まったばかり
この先なにが待ち受けているのだろうか
自由詩
この一歩は
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坂本瞳子
2016-09-24 09:00:24