美しき沈黙
ヒヤシンス
沈黙を身の回りに置く時、私は決まってここに来る。
森は必ずしも沈黙ではないが、きっとそれは心の状態なのである。
沈黙を私は求め、愛でる。沈黙は私に寄り添う。
物事の美しさは常に変化するが沈黙の美しさは不変だ。
森の木々は色付き始めている。私は黙ってそれらを見つめる。
時に音楽が聞こえ、時に話し声が聞こえ、時に風が吹く。
そうだ、風。梢を揺らしながら知らん顔して吹きすぎる風。
恨めしく思う、それもきっと心の状態なのだろう。
耳に残る風は沈黙を許さないが、私はそれをも愛す。
風は沈黙を私に印象付ける。
画家がキャンバスにこれぞという色を塗りたくるように。
森に安らぎを得ている私は今日も生きている。
沈黙という衣を纏って私はここにいる。
美しさここに極まれり、なのである。