海みたいな図書館
水宮うみ
誰の手にもとられずにずっと沈んでいる本がある。
本のなかにのめり込んで沈んでいる人もいる。
人から人へと貸し借りされ、ずっと泳ぎ続けている本もある。
本たちの上を楽しそうに泳いでいる人もいる。
人も本も泳いでいる。人がペタペタと泳ぐ。本がペラペラと泳ぐ。
ずっしりと沈んでいる人も、ずっしりと沈んでいる本もいる。
いつか本になるかもしれない文字を、ぷくぷくと泡みたいに書いている人もいる。
海があなたたちを守っている。
図書館にいると溺れてしまう。僕は本が読めないけど、海になりたい。