鏡の日
木立 悟



光が息を通りすぎ
ひとつの花
ひとつの羽に分かれてゆく


線だけの街に
雨がひとつ咲き
小さくふるえ 増えつづける


無音に打たれ ひざまづくとき
白い林の連なりを見る
うつぶせに火を抱く原を見る


花の下 水底にひらめく色は
雷鳴と虹の重なりの色
林へ至る原の色


鏡に覆われた木々があり
青と灰の雪のなか
数え切れない空を歩む


凍りはじめたものから先に
音は空へ帰ってゆく
土は静かに見つめている


原を分けるひとつの道には
ひとつの鏡が残されて
火と羽の言葉を映しつづける










自由詩 鏡の日 Copyright 木立 悟 2005-03-01 12:57:02
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