秋の断片
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写真として切り取られた 秋の断片たちが
ポジフィルムに蓄積されてゆく
くりかえされる季節の 物語りは
いつもおなじようで ちがっている
去年の台風でなぎ倒された コスモスたちの花園は
べつの花たちにかわっている
道路が新たにできていたり 広げられていたり
よく買い物した店が なくなっていたり
かとおもうと新しい店が できていたりする
過去の写真と見くらべながら すでになくなった情景を
思い出す ひと時の楽しみ
不思議なことは 一瞬の断片をみるだけなのに
その前後の記憶が 呼び起されて
まるで過去に タイムスリップしたような
錯覚におちいることだ
ここでふと前に使っていた デジタルカメラのことを思った
恐らくまっさきに一眼レフを買い 恐らくまっさきにやめてしまった
なぜならデータを記憶していたCD-Rが わずか3年ほどで読み込み不能となり
たいせつなものがすべて消えたからだ
粗悪なCD-Rは3年ほどでデータが消えるらしい
時間をかけ交通費を使い やっと撮ったものが
すべて消えたのに愕然として もう二度と使わないと決心した
デジタルカメラなどは いつ消えても良い
メモがわり程度と思ったほうがよいようだ
ポジフィルムなどのフィルムは ほぼ永久の寿命を持つが
記憶された映像データの寿命は 保存する媒体によるが
フィルムのような実績はない
たとえ最初は便利でも 消えてしまえば終わりだ
印刷やプリントは いずれ色あせてしまう
たいせつな断片は 実績のあるものに
記録するのが一番だと思う
ハードディスクやフラッシュメモリー CD-Rなどの寿命を
考えたことがあるのだろうか
まだはじまったばかりの デジタルカメラの時代だけれど
あと10年もたてばそのことに気づき フィルムに戻ることは確実だろう
いまがピークなのかもしれない
先がよめるライカ ニコンなどのメーカーは フィルムカメラを作りつづける
ライカなどはつい最近 機械式のフィルムカメラの新製品M-Aまでだしている
ブームが終わったあとに残るのは クズ同然の故障だらけのごみの山だろう
フィルムはニコンのスキャナーで 少し時間はかかるが20年前の昔から
約1000万画素でデジタル化しており まったく問題なくPCなどでも使える
まあいずれにしても 私には関係のないことで
私はたいせつなものは 労苦を惜しまずポジフィルムに
記録しているのだから