死語と愚痴
イナエ
随分昔のことだが山里の学校で疎開児童をやっていたとき
先生は教えてくれた
「いいか、熊に出合ったら息を止めて死んだ振りするんだぞ」
レントゲン撮影技師はオシャベリ好きで
乾板(これ死語かな)を何枚も替えながら
(今時の病院だったらシステム化されていて
直接コンピュータによみこむんとチャウかな)
若者の言葉使いから生き方まで嘆く
書き順めちゃくちゃや
ーハイ息止めて
「情けは人のためならず」は意味あべこべやし
ーラクにして
「人間万事塞翁が馬」はもう死語やなあ
ー息止めて
そんな人生を過ごす若者はもう少ないかな
ーラクにして
生まれてから、希望に向かって一直線やから
ー息止めて
挫折したら 人生それで終わりだと思ってんかい
ーラクにして
人生に挫折は付きものや
ー息止めて
それを乗り越えて人は強くなる
ーお疲れさまでした
頭に気をつけて下りてください。
じゃ忘れ物ないように…
こちら 息止めて死んだり 生き返って息吐いたりで
相づちも打てんがな
頭に気いつけて…やて
確かに頭はぼけかけとるけどしつれいやら
違った このどでかい放射線発生器のことか
技師も一日中 ホネばかり撮っていると
愚痴が貯まってくるのかな
被写体が 少々壊れた老いたヒトで
何言っても すぐ忘れるだろうと思ったのかな
オラが一日の大半をPC相手に作文してると言ったので
良い相手を見付けたと思ったのかな
オラは 見た目の元気を装ってるし…
病院で弱った姿見せたら、野獣に喰われるでな
なぜかって
昼間は見えないけれど、病院の廊下には
野獣がウロウロしてるからな
あっ これあまり 深刻に考えないように