日々の粉
はるな
蟻の角はまだ あるのだろうか
遠吠えや 躓きや 読みかけの頁は
まだあるのだろうか
目をあけて見やる身辺に
ころころと付属する色色を
憎んだり愛したりもせず
ただそれと知って引きずり歩く
滑稽や羞恥を過ぎて、
ただそれと知って引きずり歩く
抱きもせず切りもせず
ただ知ってただ、
つたの洋館も壁のない部屋も
うみへび座もお菓子の箱も皆、
鮮やかなまま終わり続けている
柵も檻も錠や鍵も、
数数の海辺も皆、
静かな爆発に粉粉になり散り散りになり
とりついたのは君の頬
過去の様に微笑んだまま、
終わり続けている色色のなかに
私やあなたはまだいるのだろうか